Knowledge建具の基礎知識
「建具」って、なーに?
あなたは「建具」という字がよめますか?
お読みになれた方、失礼を言って申し訳ありません。「けんぐ」とお読みになった方、心配することはありません。
「建具 = たてぐ」と読みます。
覚えておいて下さいね。
さあ、「建具」について少しだけ学問をしてみましょう。あなたの「建具」に対する見方が変わるかも……知れません。
建具とは……
具体的にいえば、玄関のドアや格子戸、和室の障子やふすま、窓やサッシ、クローゼットの折れ戸やキッチン収納の小扉etc.……建具が一つもない「住まい」なんて絶対にあり得ないし、建具に触れない日だって考えられません。
普段はほとんど意識せずに接している「建具」ですが、日常生活や「住まい」には無くてはならない重要なパーツです。
建具の分類
類は非常に複雑です。複雑というかいろいろな分類方法があります。
たとえば……
- 材質による分類
- 構造による分類
- 機能(動き)による分類
- 和風と洋風
などなど、他にもまだありますがこの辺で……
では、実際にどんなものなのか少し見てみましょう。
建具の分類 その1
材質による分類
建具は必要によって、様々な材質から作られます。
代表的なものは「木」、「鉄」、「アルミ」の3つです。
- 木
- いうまでもなく、最も一般的な材質です。
よく「日本の文化は木と紙からできている」と言われますが、その最も象徴的
な例でしょう。
元来、自然の中に豊富に存在した素材(現代では非常に貴重な資源になってしまいましたが……)であり、金属に比べて加工もとても楽です。
しかし、なんといっても「木」の最大の売りは素材自体が持っている「木目」の美しさや、「ぬくもり」に溢れる手触りですよね!「やっぱり木が一番!」と思うのは私だけでしょうか?
→木製建具のサンプル写真
- いうまでもなく、最も一般的な材質です。
- 鉄
- ステンレス製も含めて、堅牢さでいったらこれに勝るもには無いでしょう。大きなビルの出入口や、マンションのエントランス・各室の玄関ドアetc.……丈夫な上に火災などにも強く、安全面では万全の建具といえるでしょう。
現代の技術によって洗練された良いデザインのものも多く出回っています。また最近では、鉄の扉に木質の素材を貼り付けて、どう見ても木製のドアにしか見えない製品もできるようになり、さらに需要は増えるでしょう。
→鉄製扉のサンプル写真
- ステンレス製も含めて、堅牢さでいったらこれに勝るもには無いでしょう。大きなビルの出入口や、マンションのエントランス・各室の玄関ドアetc.……丈夫な上に火災などにも強く、安全面では万全の建具といえるでしょう。
- アルミ
- アルミと言えばサッシというほど日本では普及しているアルミ建具。一般の日本の住宅には無くてはならない存在になってしまいました。
外装用の窓や玄関ドアなどを中心に発展してきましたが、ここ数年の間に、室内用の、しかも、障子やふすまといったところまで製品化が進みました。恐るべし、アルミ建具!
- アルミと言えばサッシというほど日本では普及しているアルミ建具。一般の日本の住宅には無くてはならない存在になってしまいました。
建具の分類 その2
構造による分類
木製の建具はその構造(製作方法)から「ムク建具」と「フラッシュ建具」に大別することができます。
- ムク建具
- フラッシュ建具
- 角棒のような木材を使用した骨組みに、合板(ベニヤ板)を貼った構造の建具。
→フラッシュドアのイラスト - 貼りものというと安っぽいイメージを抱く方もいらっしゃるかと思いますが、今日のフラッシュ建具は技術、デザイン共に大変な発達を遂げ、一般的な住宅をはじめすべての建具の中で最も使用頻度が高いものになっています。
実際、どう見てもムク建具にしか見えないものや、ムク建具では絶対にできない独創的なデザインのドアなど非常に自由度の高い建具です。
→えっ!これがフラッシュドア?
- 角棒のような木材を使用した骨組みに、合板(ベニヤ板)を貼った構造の建具。
建具の分類その3
機能による分類
機能というと難しく聞こえますが、「どう動くか」という分類です。
基本的に「開き戸」・「引き戸」・「折れ戸」の3種類があります。
- 開き戸
- 引き戸
- 障子やふすまなどの開閉方法です。
上下の枠(鴨居と敷居)に溝を掘ったりレールを付け、そこに建具を取り付けます。
昔は溝によるものが多かったため、傷みや摩耗によって動きが悪くなるケースが
多々ありましたが、今ではV型レールやハンガーレールを用いて非常に動きがス
ムーズです。
また、開き戸のようなデッドスペースが無いので、居住空間の有効利用が可能です。
家庭用自動ドアの普及も見込まれ、今後注目の建具です。
→開閉方法
→溝やレールの納まり
- 障子やふすまなどの開閉方法です。
- 折れ戸
- 寝室のクローゼットなどに用いる折りたたんで開閉する仕組みのものです。
近年折れ戸用の金物の開発が進み、よりスムーズな開閉が可能になったと同時に、下部つまり床面のレールを必要としないものも増えました。
このため、収納スペース以外にリビングの可動間仕切り壁としての利用も増えました。
→開閉方法
→固定式とフリーオープン
- 寝室のクローゼットなどに用いる折りたたんで開閉する仕組みのものです。
- その他
- 建具の開閉方法は他にもあります。
回転窓 = ドアの上の欄間などに使用して、排煙などに使うことがあります。
上げ下げ窓 = 家屋の出窓などに使うとおしゃれな雰囲気を演出できます。
回転窓 = 木製ドアには不向きですが、開閉方法のひとつとして挙げておきます。
- 建具の開閉方法は他にもあります。
建具の分類 その4
和風建具と洋風建具
この分類に関しては特にコメントは必要ないでしょう。
ただ、和風の建具に関してはいろいろな種類のものがありますので、洋風のものでは特徴的なデザインによって固有の名称で呼ばれるものもあります。
代表的なものについて説明いたしましょう。
和風建具
「日本人だから畳の部屋が欲しい」これは家を持つ人のほとんどが思うこと。
和室といえばやはり、障子やふすまは必需品ですね。
しかし和風の建具は障子やふすまばかりではありません。
他にどんなものがあるかというと……
洋風建具
洋風建具=ドアの普及によって、日本の家屋形態は大きく様変わりしました。
現在、建具の和風・洋風のボーダーは特に意味を持ちません。
ただ、デザインパターンによっていくつかの呼び方があるのでご紹介します。
参考になる資料
建具・ドアに関する専門的な書籍やビデオはそれほど数がありません。
特に、製作技術に関する専門書はほとんど一般的には手に入りません。
このような状況の中、貴重な資料となる文献やビデオに関する一覧を知り得る限りご紹介させていただきます。
建具全般、製作法に関する文献
文献名 | 内容 | 発行元 |
---|---|---|
建具製作教本 | 全3編で構成される木製建具製作のバイブル的存在。特に、和風建具に関する製作方法については、障子はもちろん、格子戸・舞良戸・雨戸から大型の門扉までほぼ完全に製作の奥義が掲載されている。 また、第3編では、複雑な組子の技術が詳細に紹介されており、障子を製作する職人さんは必携の一冊。 |
全国建具組合連合会 TEL: 03-3252-5340 FAX: 03-3252-5330 Webサイト |
建具製作マニュアル (フラッシュドア編) |
内容をフラッシュドアの製作のみに絞った実用的な技術書。建具全体の生産量の中で占めるフラッシュドアの割合を考えると、建具業界にとって最も必要な本と言える。 内容は、基本的な製作方法から応用技術、付加価値の高い製品を創るためのヒントなど、特に若い技術者の方々にもお勧め。 |
東京建具協同組合 TEL: 03-3256-6576 FAX: 03-3256-6574 Webサイト |
現代建具要諦 | 全国建具組合連合会の創立40周年を記念して発行された専門用語の解説集。建具の製作に関係する用語から建築用語、また、これらに関連する外来語等を多数収録。 さらに、建具の製作における原価計算の手引きも掲載されている。 |
全国建具組合連合会 TEL: 03-3252-5340 FAX: 03-3252-5330 Webサイト |
知っていますか、 建具のこと |
東京建具協同組合が建具および建具業界のPR誌として近年発行した小冊子。一般のエンドユーザー向けのもので、日常のお手入れを中心に、建具に関する豆知識などを盛り込んだオールカラーの楽しい一冊。 | 東京建具協同組合 TEL: 03-3256-6576 FAX: 03-3256-6574 Webサイト |
建具製作に関するビデオ
ビデオタイトル | 内容 | 発行元 |
---|---|---|
技能伝承・建具の世界 |
建具製作の技能・技術を後世に伝えるための専門的なマニュアルビデオの第1弾! 今回はパネルドアの製作法を木取りから加工・組立・塗装を経て完成するまでを完全収録。 量産品の製造工程では決して見ることのできない高度な「二枚ホゾ」などの技術を盛り込んだ見応えのある仕上がりになっている。 |
東京建具協同組合 TEL: 03-3256-6576 FAX: 03-3256-6574 Webサイト |
江東区伝統工芸 木工(建具) |
「現代の名工」や江東区優秀技能者に選出された故・木全章二氏による障子製作の記録ビデオ。伝統的建具である障子に焦点を当て、製造過程を紹介。高度な技術を要する組子ができていく様子を詳細に見ることができる。 | 江東区役所 Webサイト |